第30回研究会(2020.02.19)

 本日の研究会は、氷見先生の「仕事への向き合い方」についての考えをもとに、教師としての働き方や意識のもち方について議論を重ねました。以下はその内容です。

<氷見先生から>

 7時間45分の時間内で、いかに効率よく、最小限の負担で最大限の効果を上げることができるのかが勝負である。しかし、教職のゴールは明確でなく、そのため、教師が最大限の努力をすることが最大限の教育効果につながるというマインドセットが広く認知されているが、果たしてそれは真なのだろうか。

 仕事の優先順位を付けることはもちろんだが、明日できる仕事は明日に回すというある種の思い切りが必要である。

 教師の「自分の力で何とかしたい」「自分が子供を変えたい」「保護者の思いにまで影響を与えたい」という一人よがりの思い込みが、逆に子供の意識との乖離を生むことになってしまうのではないか。教師はティーチャーとしての役割から、ファシリテーターとしての役割に変化してきている。

 教師という仕事に真面目に没頭するのではなく、どこか斜め45度から見ていくという視点を持っていきたい。教育に没頭していては、新たなアイディアが生まれてこない。意識的に様々な経験をしていくことで、その経験から多様な価値観や見方、アイディアを教育活動の中に取り入れていくことができる。余暇や遊びの部分で何を見聞きして吸収しているかが、研究授業や行事計画の時に発揮すべき想像力やアイディアの差につながっていくと考える。


<協議の内容>

・働いている中で思うこととして、力の抜き方が難しい。しかし、ある程度の所で意識的に仕事を区切って帰宅するということも重要である。

・働き方や効率を求める中で、つまらない自分になってきてしまっているということを感じることがある。遊びの部分の重要性を感じる。

・学校文化の中で「徳」や「美」と思われていることについて、もう一度問い直していく必要があるのではないか。

・働き方や生き方の捉えについて、実は世代間で大きなギャップが存在する。その時の社会背景や自分が教えられてきたカリキュラムにより、前提となる「働くということ」や「家庭での役割」についての意識が世代間で大きく異なるということを知っておいた方がよい。その上で、自分の価値観を仲間に求めるのではなく、多様な価値観や考えがあることを理解して受け入れながら働いていくということが重要である。


 国レベルでも働き方改革について様々な議論がなされています。教育へのや人材の確保等のハード面での改革ももちろん必要だと思いますが、それと同時に、教師の意識も変わっていく必要があるように思います。そのような中で、「教育に没頭することが美しい」という意識を盲目的に信じて取り組んでいくことの危うさを、見つめ直す話し合いとなりました。

 この話合いの後に、来年度の研究会の研究内容や日程・役割分担等についての確認を行いました。今年度もあと1ヶ月で終わりとなります。令和2年度からは、新学習指導要領の下で小学校の教育活動が展開されることとなります。新しく始まる様々な取組の中で、教師自身が取組の軽重を付けたりバランスを考えたりしながら仕事に向き合い、教育という側面の外でも人間的に豊かであることが、ひいては子どもたちの成長へもつながっていくのではないかと思います。

実ある教育を語る会

富山県小学校教諭の有志による実践研究会です。日々の実践を基に研究を深めます。 〜真贋を見極める目を!真実を追い求める目を!未来を作る芽を見つける目を!〜 第3章スタート! 引用参考 http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/colored/info/kyoto.htm