秋の番外編 第2回全国小学校キャリア教育研究協議会 全国大会 (2019.11.15.16)

   みなさん、こんにちは。実ある教育を語る会の村田です。11月15日・16日に全国小学校キャリア教育研究協議会の全国大会があり、顧問である辻井先生と一緒に参加してきました。

   全国小学校キャリア教育研究協議会は、京都市のキャリア教育研究会が中心となり、昨年度発足しました。新学習指導要領の全面実施を控え、小学校でのキャリア教育の在り方について、考えを深めていく会です。

  会発足から2年目の全国大会でありながらも、初日には400人を超える参加があり、午後の体育館での講演やシンポジウムも満席でした。1日目には東京都板橋区立中台小学校で授業公開が、2日目には上越教育大学の山田智之先生の講演とキッザニア東京の施設見学がありました。

   以下、今回参加しての学びをご報告いたします。

①中台小学校研究発表会

 「なりたい自分を見つけ、実現していく児童の育成」というテーマで取り組んできた。全学年が、キャリア教育の要となる特別活動(3)を意識して公開授業を行った。子どもの発達段階に応じ、「学びを自分の日常生活とつなげたり、将来とつなげたり」していく取組が行われており、大変参考となった。どの授業においても、授業の最後の「振り返り」を重視していた。1時間の学びを自分のものとして価値付けて捉え直す上で、授業の最後に振り返りを行うことの重要性を改めて感じた。

 中台小学校では、キャリア教育を中心に据えて全教育活動に取り組んでいた。特徴的な活動がいくつもあるのだが、その一つに、「なりたい自分カード」がある。年度当初に書く学年のめあてに、全学年が「なりたい自分」を明記することとされていた。そして発達段階に応じ、その具体を書く項目が増えるようになっていた。子どもたちは一貫して6年間「なりたい自分」を意識し、思い思いに変容させながら学校生活を送ることができる。

 6年生の授業では、特別活動「学習をレベルアップ!~何のために学習するの~」という授業が行われていた。学校での学びと将来の夢とのつながりを考え、卒業までの残された時間を自分なりの思いをもって過ごそうという意識を高める授業であった。子どもたち一人一人の個性が光り、学級の中で自信をもって立っている姿がとても印象的であった。学校全体でベクトルを合わせ、キャリア教育を深めていったことにより、子どもたちの個性が生き、それを仲間同士で認め合い、高め合う姿がそこにはあった。

   中台小学校の子ども達の姿から、改めてキャリア教育の可能性を強く感じた。

②基調講演 野村総研上級コンサルタント 上田さんの話から

 「AIと共存する未来のエキスパート」という演題で話がされた。印象的であったのは、今はAIに仕事が奪われるといった悲観論が多く見受けられるが、今後の少子化の影響による労働人口減少の中で、AI等のロボットに仕事を代替していくことで、より人間らしい人間ならではの仕事に内容がシフトしてくことができるというものであった。

   AIによって自動化が難しい3分野として「創造的思考」「ソーシャルインテリジェンス」「否定型対応」が提示されたが、この3つは実はAIによって導き出されたということを聞いて驚いた。このような未来を思い描くと、これからは何でもできるジェネラリストが求められる時代ではなく、加点主義の評価によるエキスパートが求められる時代だということを述べられていた。

   一方で、学校現場では均質な授業の中で減点主義の教育観であるように思う。そのような中で、学校教育の中でも、価値の転換が求められるということを感じた。

③記念講演 上越教育大学 山田智之教授の話から

 キャリア教育を通して身に付ける基礎的・汎用的な能力は、「~力」である。もちろんそれらの力を伸長していくことは重要だが、もう一つ、「価値的態度的側面を変容」させていくことも重要であるとのことであった。    その際、教科のねらいや評価と、キャリア教育で育みたい力とを相互に意識していくために、マトリックスに落とし込んで考えるという手法を得ることができた。

 キャリア教育とは、「点と点をつなぐ」ということ、そのためには各自の「価値観」にアプローチしていくということの重要性を感じた。

 今回の全国大会からは、多くの示唆を得ることができました。そして改めて、次年度から全面実施される新学習指導要領が示すように、キャリア教育によって子どもの学びが変わっていくことを感じました。特に「普段の学びにキャリアの視点を入れていくことで、学びを日常生活や将来へとつないでいく」といったことの具体と本質が理解できたと思います。

   昨年度から発足したこの小学校キャリア教育研究協議会は、さらに全国の人たちとつながり、深まっていくと感じました。来年度は、再度京都市で全国大会が行われるということです。そこでは、山田先生が提案された、「教科のねらいと基礎的汎用的能力のマトリックス」を活用して既に授業実践が行われていると聞きました。

   ここで学んだことを広げ、実ある教育を語る会の研究をさらに深めていきたいと思います。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします!

実ある教育を語る会

富山県小学校教諭の有志による実践研究会です。日々の実践を基に研究を深めます。 〜真贋を見極める目を!真実を追い求める目を!未来を作る芽を見つける目を!〜 第3章スタート! 引用参考 http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/colored/info/kyoto.htm