第26回研究会(2019.10.24)

   激しい台風も去り、いよいよ本格的に秋めいてきました。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。我々、実ある教育を語る会は、会員一同が課題意識をもち、今日も子どもたちの明るい未来のため、討議を重ねています!
   今回の研究会は、大門総合会館の会議室をお借りして行いました。話し合った内容は、以下の通りです。
<秋田・京都の視察報告から>
・全国には様々なキャリア教育の取組がなされている。その中でも、今回は注目されている二箇所に視察に行ってきた。
・学年全体、学校全体で取り組まれているキャリア教育の内容に驚いた。子供の主体性を育てるといったことが、とても大切にされていると感じた。教育の最終目標は「子供の自立」である。そこに向けて、どのように子供たち一人一人を意識付け、行動に結びつけられるかが重要である。
・学校現場では、様々な面で前年度の踏襲がよく行われている。しかし本当にそれでよいのか。教員一人一人のアイディアを生かしていくことが重要であるし、そうでないと教育の改革がなされない。
・重要なのは、子供の事実を見て、子供の学びにつながることを取捨選択して取り組んでいくことである。来年度からのキャリア教育の取組については、現場はまだ理解が進んでいないのが現状である。視察で知ったように、キャリア教育によって子どもが変わっていくという事実を、多くの教師が知ることで、各学校の取組への意識が変わっていくのではないかと思う。
・キャリア教育の先進的な取組を実際に見て来て、勤務校とは大きく意識が違うように感じた。改めて、「子どもにとって実のあること」に向き合って取り組んでいかなくてはならないと感じた。
・それぞれの子供が育った環境は変えられない。できない理由を挙げて、子供や家庭にその原因を帰属していても仕方がない。大切なのは、子供の意識をどのように感化していくかということである。もっと「どう生きるか」ということに、学校教育を通して向き合っていかなくてはいけないのではないか。そこには教科書もなく取組の方法も一つではないので、我々が試行錯誤しながら探っていく必要がある。


<氷見先生の算数科の授業からの学び>

①本当のアクティブラーニングとは

 本授業で子供たち全員が本気になって考えた場面は、ある子供の発言の内容が、他の子供たちも授業者も分からずに、でもその内容をみんなが分かろうとした時であった。分からないことを一生懸命に聞いて分かろうとしたときに、子供達の頭が一番アクティブに働いていたと考える。子供たちの動きが活発に見え、生き生きと学んでいるかのように一見見える時、アクティブラーニングが成立していると勘違いしてはいけない。静かであっても、頭の中がフル回転している時こそ、アクティブラーニングが成立している時と考える。答えが定まらないものやグレーなもの、不便に感じるもの等を本気で分かろうとするときにこそ、アクティブになるのではないかと考えさせられた。

   そういった意味で、現状の「みんなができるわかる授業」を目指すことは当然大切なのだが、時には、分からないからみんなで「うーむ」と悩み、1時間が終わってしまう、そんな頭がアクティブになる時間も大切にしていく必要があるのではないだろうか。

②教師の演出による動機づけ

 最後の適用問題では、全員一律の問題ではなく、自分だけの問題を解くように演出をした。自分だけの問題ということで、子供たちはワクワクして取り組み、そこに子供の主体性が表れていた。中にはその問題が書かれたカードを大事に家に持って帰る子どももいた。

   このように、子どもにとって問題を解くことがどれだけ意味を持ち、大切かといったことを、教師の演出によって意識づけることも重要である。さらに発展として、各子供が解いた問題を、仲間同士でさらに出し合って、互いに解き合うといったこともよかったのではないだろうか。


<リフレクション研究の経過報告>

 算数科の授業後の「ふり返り」に焦点を当て、2年生、3年生、5年生で取り組んでいる。國學院大學の田村学教授は、授業の「導入」よりも「ふり返り」の大切さを述べている。また、「前の学習とつなげる」視点の大切さも述べている。

   そこで、これも含めた5~6つの視点を提示し、ふり返りを行ってきた。このようにしたことで、授業で分かったことやできるようになったこと、友達から学んだこと等を、ふり返りに記述できる子どもが出てきた。今後はこのふり返りを続けつつ、子供の変容を見ていきたい。

 ふり返りには、段階性があるようにも思う。「わかる」から「〇〇さんの話から得たもの」といったように。このような段階性を表す「指標」のようなものを示せたらよいかもしれない。

 1時間1時間のふり返りは個々バラバラである。このふり返りの一つ一つがつながって蓄積され、そのふり返りを見返して自己の成長を実感できるようなアイディアがあってもよいかもしれない。そして、これはキャリアパスポートの取組ともつながる面である。

 子供に書かせたふり返りを、授業でどう活用していくのか、ふり返りをどのように子供たちに共有していくのかということも、今後追究していく価値のあることだと考える。


 今回も多岐にわたって議論しました。

 「子どもにとって実がある」とはどういうことなのかということを、キャリア教育先進地域から学び、算数科の授業場面から考えました。そこで見えてきたことは、「今の当たり前を見直す」ということだと思います。「今までやってきたから」といった意識に囚われずに、子供の事実を捉えて、自分がワクワクすることや良いと思ったことにどんどん挑戦していくことで、本当の意味での教師自身の力量形成にもつながっていくと思います。

   今年度、本研究会で行っている「リフレクション研究」もその一つであると思います。子供の人格形成やキャリア教育の中で、「自己を見つめる」といったリフレクションの在り方については、今後さらに重視されてくる研究内容であると思います。さらに実践を積み重ねて議論し、追究していきたいと思います。

 また今回から、新たなメンバーが加わりました。氷見市立比美乃江小学校の井上真考先生です。本会の取組も、徐々にその地域が広がってきています。

   今後も、仲間とのつながりを大切にし、さらに研究を進めていきたいと思います。


実ある教育を語る会

富山県小学校教諭の有志による実践研究会です。日々の実践を基に研究を深めます。 〜真贋を見極める目を!真実を追い求める目を!未来を作る芽を見つける目を!〜 第3章スタート! 引用参考 http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/colored/info/kyoto.htm