第26回研究会(2019.10.24)
<氷見先生の算数科の授業からの学び>
①本当のアクティブラーニングとは
本授業で子供たち全員が本気になって考えた場面は、ある子供の発言の内容が、他の子供たちも授業者も分からずに、でもその内容をみんなが分かろうとした時であった。分からないことを一生懸命に聞いて分かろうとしたときに、子供達の頭が一番アクティブに働いていたと考える。子供たちの動きが活発に見え、生き生きと学んでいるかのように一見見える時、アクティブラーニングが成立していると勘違いしてはいけない。静かであっても、頭の中がフル回転している時こそ、アクティブラーニングが成立している時と考える。答えが定まらないものやグレーなもの、不便に感じるもの等を本気で分かろうとするときにこそ、アクティブになるのではないかと考えさせられた。
そういった意味で、現状の「みんなができるわかる授業」を目指すことは当然大切なのだが、時には、分からないからみんなで「うーむ」と悩み、1時間が終わってしまう、そんな頭がアクティブになる時間も大切にしていく必要があるのではないだろうか。
②教師の演出による動機づけ
最後の適用問題では、全員一律の問題ではなく、自分だけの問題を解くように演出をした。自分だけの問題ということで、子供たちはワクワクして取り組み、そこに子供の主体性が表れていた。中にはその問題が書かれたカードを大事に家に持って帰る子どももいた。
このように、子どもにとって問題を解くことがどれだけ意味を持ち、大切かといったことを、教師の演出によって意識づけることも重要である。さらに発展として、各子供が解いた問題を、仲間同士でさらに出し合って、互いに解き合うといったこともよかったのではないだろうか。
<リフレクション研究の経過報告>
算数科の授業後の「ふり返り」に焦点を当て、2年生、3年生、5年生で取り組んでいる。國學院大學の田村学教授は、授業の「導入」よりも「ふり返り」の大切さを述べている。また、「前の学習とつなげる」視点の大切さも述べている。
そこで、これも含めた5~6つの視点を提示し、ふり返りを行ってきた。このようにしたことで、授業で分かったことやできるようになったこと、友達から学んだこと等を、ふり返りに記述できる子どもが出てきた。今後はこのふり返りを続けつつ、子供の変容を見ていきたい。
ふり返りには、段階性があるようにも思う。「わかる」から「〇〇さんの話から得たもの」といったように。このような段階性を表す「指標」のようなものを示せたらよいかもしれない。
1時間1時間のふり返りは個々バラバラである。このふり返りの一つ一つがつながって蓄積され、そのふり返りを見返して自己の成長を実感できるようなアイディアがあってもよいかもしれない。そして、これはキャリアパスポートの取組ともつながる面である。
子供に書かせたふり返りを、授業でどう活用していくのか、ふり返りをどのように子供たちに共有していくのかということも、今後追究していく価値のあることだと考える。
今回も多岐にわたって議論しました。
「子どもにとって実がある」とはどういうことなのかということを、キャリア教育先進地域から学び、算数科の授業場面から考えました。そこで見えてきたことは、「今の当たり前を見直す」ということだと思います。「今までやってきたから」といった意識に囚われずに、子供の事実を捉えて、自分がワクワクすることや良いと思ったことにどんどん挑戦していくことで、本当の意味での教師自身の力量形成にもつながっていくと思います。
今年度、本研究会で行っている「リフレクション研究」もその一つであると思います。子供の人格形成やキャリア教育の中で、「自己を見つめる」といったリフレクションの在り方については、今後さらに重視されてくる研究内容であると思います。さらに実践を積み重ねて議論し、追究していきたいと思います。
また今回から、新たなメンバーが加わりました。氷見市立比美乃江小学校の井上真考先生です。本会の取組も、徐々にその地域が広がってきています。
今後も、仲間とのつながりを大切にし、さらに研究を進めていきたいと思います。
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