第25回研究会(2019.09.13)

  今回の研究会は、キャリア教育についてさらに深く学ぶことを目的とし、富山県のキャリア教育推進の中心的存在でいらっしゃる富山県氷見市立比美乃江小学校長の谷内口まゆみ先生をお招きし、ご講演をいただきました。   前半は小学校におけるキャリア教育の展開についてお話されました。以下はその内容です。

キャリア教育の方向性として、
1、学校の教育活動全体を通して実施
2、教師がキャリア教育の視点をもつ
3、基礎的・汎用的能力の育成
4、将来の夢と学業を結び付ける
と挙げられた。
  キーワードとして、小学校低学年では「のびのび、チャレンジ」、中学年では「友達との関わり」、高学年では「役割、責任」といった発達段階を考慮した学習の展開が望まれるとしている。
  具体的な学習例を挙げられる中で、谷内口先生が大切にされていることは、「地域との交流」と「振り返り」だった。小学校は地域との結び付きが強いため、キャリア教育を進めるにあたっては絶好の機会だと捉えられている。地域の働く人々に触れ、直接考えや思いを聞き、子供たちの成長を刺激し、その学びを振り返り、書き溜めることで小さな成長を積み重ねることができるとしている。また、その振り返りを保護者や友達に広めることも大切である。
  難しく捉えるのではなく、子供たちの日々の小さな成長を教師が見とり、それを認め、広めることでキャリア教育につながるともおっしゃった。

  後半は来年度から実施されるキャリアパスポートの概要について教えていただき、キャリア教育について話し合う場を設けた。
  キャリアパスポートは各学年で5枚以内とし、それぞれの学校でカスタマイズして学びや成長を蓄積していくポートフォリオ的な教材である。学習活動や行事、地域活動等のシートがあり、発達段階に合わせた内容となっている。
  キャリアパスポートを見て、会員達からは、「普段の学習活動等でいかせそう」と負担なく活用できるという意見が出たが、それをどのように周知させていくのかや、キャリアパスポートを書いて綴って終わりにならないかといった疑問も出た。
  谷内口先生は、講演の中で何度も「普段の学習活動や学校生活の中でキャリア教育はできる。教師がキャリア教育の視点で学習を進めるだけで子供の成長が全然違う!」とおっしゃられた。まずは教師の視点を変える必要がある。

  最後に谷内口先生は、「キャリア教育は生きる力の漢方薬である!」と説かれた。少しずつ少しずつ効果が表れるので、小学校6年間をかけ、じっくりと子供の成長を見とることが大切だと学んだ。また、子供たちの振り返りをどのように活用したり、広めたりするのか課題も明確となった。
  個人的な考えだが、キャリア教育の話で共通することは、キャリア教育とは「新しい教育」ではなく、「既存のものを深く読み取る教育」だということである。教育方法はそれぞれでも、全ては子供たちのために!と進める日々の教育こそ、キャリア教育の根幹であると感じた。どんな大人になってほしいかを教師が考え、その実現に向けて努力を続けることが私達に大切なことだと今日の講演を聞いて改めて気付いた。

  ご講演くださった谷内口校長先生、本当にありがとうございました。

実ある教育を語る会

富山県小学校教諭の有志による実践研究会です。日々の実践を基に研究を深めます。 〜真贋を見極める目を!真実を追い求める目を!未来を作る芽を見つける目を!〜 第3章スタート! 引用参考 http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/colored/info/kyoto.htm