第24回研究会(2019.08.22)

 実ある教育を語る会に興味をおもちの方々、毎回記事をご覧になり応援してくださっている方々、本研究会のみなさま、こんにちは。本会の石垣です。8月22日(木)、県外視察報告会について、報告させていただきます。

 今回は、県外視察組で富山国際大学に集まり、県外視察の報告、次回の研究会について、今後の研究課題について、新メンバーについて、今後の県外視察とその見通しについて話し合いました。

 まず、村田先生より、今後の県外視察について、どこでどのような研究会が行われるのか、日程や内容の詳細を話していただきました。

 主なものとして、東京都板橋区・中台小学校の研究集会、文科省・経産省・厚労省主催「キャリア教育推進シンポジウム」、福岡県「第3回キャリア教育フォーラム」等がありました。本会より1人でも多く参加し、新たな知見を得られるよう努めていこうと思います。


 次に、次回8月30日の本研究会について。次回は、谷内口まゆみ先生より、キャリア教育の今後の動向についてお話いただく予定です。今後、国としてどのような方向性が示され、県単位で推進されていくのか、そして、我々現場の教員が日々行う教育活動の可能性がどのくらい広がるのか、様々な視座をいただき、今後本研究会へのご指導をいただきたいと考えております。

 次回、乞うご期待!


 3つ目に、石垣の方から、今年度の研究について構想を提案させていただきました。今年度は、授業における振り返り(リフレクション)の在り方について、研究を進めていこうと考えております。

 学習した内容をなぞえらえる、これまでの「まとめ」とは違い、学習を通して自分の中に内在化されたものを文章言語により明確化する「振り返り」はどうあればよいかを課題とし、研究していきます。

 辻井先生からは、「(例えば)算数がどのくらい好きになったかや、この学習での学びが楽しかったかなど、意欲面につながるような観点を与えてもよいのではないか」とご意見をいただきました。

 どれだけ技能的に「できるようになったか」ばかりを追い求めてしまっている自分の視野の狭さに気づくことができました。また、教科書・指導書通りの授業展開だけが子供にとって「おもしろい」授業、「できた」と感じる授業にはならないことを勉強させていただきました。今後も、算数だけでなく、子供にとって「実のある」授業について考えていこうと思います。


 4つ目に、県外視察の報告をしました。秋田県大館市、京都府京都市の取り組みにつきましては、本ホームページの過去の活動記録にありますので、そちらをご覧ください。割愛させていただきます。

 報告しあった後、話し合われた内容を以下に示します。

【秋田県大館市】

・市全体で危機感をもったところから始まった「未来大館市民」の育成。そこには、学校・教育委員会だけでなく、地域住民や地元企業からの発信があり、大人たちみんなで未来の大館市民を育てていこうという熱意を感じる。

・個人に目を向けた場合、大館市や、秋田県の中だけで社会貢献していくところには、課題が見られる(例えば最先端技術を必要とするAIやIoT等の普及には、どのように対応していくのか。最先端がどうしても県外にある場合もあるのでは)。もちろん、すでにその課題には何かしらの対策を考えているであろう。それだけ、大館市の取り組みは、日本をリードする先進的な取り組みである。

・富山県に置き換えてみると、何から始めるのか、どこから始めるのか、どのように始めるのか、検討する余地がまだ多くあることに気づかされた。

【京都府京都市】

・企業出資の「まなびの街生き方探求館」は、プレ労働者、プレ消費者の経験を通して、自分の生き方を考えていく活動ができる。そして、そこにはすでに、「これをやっているだけで、満足していてはいけない」という新たな課題が生まれ始めている。そこへの次なる一手はどのように打たれていくのか。

・実際に稼いだお金で買い物ができる活動により、消費生活が身近なものとして感じることができるだろう。それによって、少しずつ未来が鮮明に見えてくるのではないだろうか。

・岩倉北小学校の取り組みでは、校長先生のキャリア教育への考え方がとても勉強になった。「全ての学びが子供たちのキャリア教育」であるという考え方は、何か特別な「キャリア教育」という枠の中での取り組みを考えていた視野の狭さに気づかされた。「全ての学びがキャリア教育」であるならば、やはり、子供にとって「実ある教育とは何か」を考えていく必要があるだろう。



【おわりに】

 今回の報告会は、4時間半にもわたる会となりました。(ちなみに秋田大館までは往復15時間です!)ここからは、あくまで石垣の私見ですが。

 これまで、約2年にわたり、本研究会は研究を進めてきました。そのため、個人の学びがそれぞれに深まりを見せ、同じ意見を言う者は1人もいません。異なる意見によって、さらに視座が広がり、新たな知見を得、少しずつではありますが、研究にも深まりが見られてきたと思います。

 もちろん、大館市や京都市の深みにはまだまだ行っていないことも、痛烈に自覚しております。しかし、見ているものが違い、感じた反応もまた、それぞれではありますが、歩いている方向、目指す頂は同じく「実ある教育」であることをあらためて感じた会でした。これからも、多様性にあふれ、おもしろいことに心揺さぶられるような感覚を大切にしていきたいと思いました。

 最後に、「これまで通り」を批判、もしくは否定し、新たなものを創造する営みを楽しむ大館市や京都市の取り組みに学ばなければならない一番身近な課題は、「これまで通り」「指導書通り」の型にはまった授業を批判し、新たなこれまでにない「おもしろい」授業を教師も楽しんでいく感覚を養っていくことではないかと考えます。

 新たな挑戦をする者の足を引っ張る教師が、果たして、今後ますます発展・進歩し変化に富むであろう時代の中で、「おもしろい」時代を創造していく子供たちが育つ環境を作り出すことができるでしょうか。

 これまでにない「おもしろい」授業を行うことが、時代の変化を「おもしろがれる」子供たちになっていくことに繋がるのではないかと夢見る教師の1人でありたいと思いました。

 挑戦を、楽しみましょう!


「成功の反対は、失敗じゃないんです。挑戦の反対が、失敗なんです。つまり、挑戦しないことが、失敗なんです」 城西小学校・川崎先生

実ある教育を語る会

富山県小学校教諭の有志による実践研究会です。日々の実践を基に研究を深めます。 〜真贋を見極める目を!真実を追い求める目を!未来を作る芽を見つける目を!〜 第3章スタート! 引用参考 http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/colored/info/kyoto.htm