第83回研究会(2023.10.27)
ラグビーW杯3位決定戦前夜の10月27日(金)、各自の芽線を掘り下げ、今後どのように子供と関わっていくかを中心に話し合いました。
まず、漢字が得意で、特に難しい漢字に興味があり、今は学級の中で漢字博士としてみんなにクイズを出すようになったA児について芽線を掘り下げました。A児には他にも読書好きな側面や、他者に何かを教える(伝える・紹介する)ことが好きといった特徴が、担任の見取りから明らかとなりました。
そこで、芽線は「漢字✕読書✕教える・伝える・紹介する=司書、学芸員」が導きだれました。これまでのA児との関わりを通して、担任が「漢字が得意」という特性に気づき、連絡帳に「この漢字は何と読むでしょう?」と書いたことが始まりだったそうです。A児は担任の書いた漢字の読み方を書き、逆に「この漢字は何と読むでしょう?」と漢字クイズを連絡帳に書いてきたそうです。
おそらくA児は、これから総合的な学習の時間の「地域」単元で、校区にある寺や神社を周りそこに書いている書いてある難しい漢字を目にする度に「何て読むんだろう?」と気になり、その難しい漢字を読むことで、神社や寺がどうしてそこに建てられたのかが分かり、歴史にも興味をもっていくのではないか、さらにそのことを誰かに紹介したくなるのではないかと見立てました。A児についての最終的な芽線は、「国宝勝興寺の学芸員」と結論が出ました。
次に、B児についてです。B児は担任が出会った当初は、周りからあまりよい他者評価がなかったようです。むしろ、注意や叱責を受けることが多く、つい手が出てしまう場面もあったようです。しかし、B児は絵を描くことが得意であるということに関しては周りからも一目置かれていました。
さらに、学級のゴミがいっぱいだったことに気づき、それを捨てに行こうとしたことがきっかけで、他の学級のゴミも一緒に集めて回るというボランティア精神が垣間見えるエピソードもありました。また、学習発表会では、周りから自分のがんばりを認められることが多くなり、他者貢献するだけでなく、他者評価もよいものを得られるようになりました。
このような担任の見とりから、「絵✕ボランティア精神✕ゴミ収集=クリーンセンターのバンクシー」という芽線が導き出されました。B児は絵を描くことが好きではありますが、本人はそこまで自分の絵は上手くないと思っているそうで、絵に対する自己評価は他者評価よりも低いそうです。けれども、ゴミ収集で見せてくれたようなボランティア精神を生かし、クリーンセンターでゴミ収集をしながら、富山県の好きな風景画を趣味の範囲で描き、ちょっとした展覧会に名前を伏せて出品する、しかし他者からは、自分が思っているよりも評価が高い、という人生を送っている姿を想像しました。
最後に
今回は、2人の子供について芽線を掘り下げていきました。2人とも、大人になった姿を思い描くことで、今そこにある姿が「ここに繋がっているのではないか」と担任自身も想像を楽しみ、その子の特性を面白がってあげることで、関わり方(特に言葉に見られると思います)が変わるのではないかと考えます。
さらに、勝興寺の学芸員や、クリーンセンターのバンクシーを自分が担任していると思って明日も学級に行くこと(かなり妄想が入っていますが)で、担任自身も学級に行くことが楽しくなってくるのではないでしょうか。
目の前にある「やらなければならないこと」は、たくさんあります。それは間違いありません。しかし、目の前にある「可能性」は、もっとたくさんあります。それも、間違いありません。ただ1つ決定的に違うのは、私達がどちらを見ているかだと思いませんか?本当に大切なこと、実のあることはどちらなのでしょうか。そして、本当に「やらなければならないこと」は、どちらなのでしょうか。私は、後者だと思います。
まだまだ、若い人には、負けません。
若い人より、学級を、子供たちを楽しみます。
文責 石垣孝太
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