第63回研究会(2022.07.13)
夏休みまであと少しとなり、成績処理や保護者会の準備等で忙しくなった今日この頃です。今回の研究会は、オンラインで行われました。
今回のテーマは「学校訪問等で実践したことや学んだことを共有し、深めていこう!」というものでした。
その中で、1学期に学校訪問を行った先生方として、馬淵先生、林先生、井上先生が実践の内容とそこから学んだことを共有しました。
馬淵先生:道徳・・・1年生
1 、トライの授業を行って
学校訪問前に隣の学級でトライの授業をした。しかし、隣のクラスでは授業に深まりがなく、道徳の授業におけるトライは意味がないと痛感した。
2 、発問の吟味について
指導案を出した後に、子供の実態や担任としてこの題材から学んでほしいことを考え直し、指導案とは異なる発問を行った。本時では、子供たちは教師の発問に対して、悩みながらも真剣に考え、発言をしていた。このことから、教師が発問を吟味し、どの部分に焦点を当てるかのかを考えることが大切だと感じた。
3 、振り返りについて
振り返りでは、道徳ノートを書く際に、視点を与えて書かせたが指導主事の先生からは、あまり視点を与えずに書かせた方がよいという指摘をいただいた。
4 、意思表示を行わせる手立て
子供たちの価値観や心情を示すために「意思表示カード」を活用した。
・子供たちの心情を表す上で効果的だと感じた。白黒つけられず、言葉でも表現が難しいような微妙な心情を表現する上で、このカードは有効であり、他の教科でも活用できると感じた。
林先生:学級活動(1)・・・4年生
<議題> 全員が取り組む係活動にする方法を考えよう
係活動で子供たちが困っていることについて話し合い合意形成を行う活動を行った。
1 、全員の子供が問題意識をもてる議題の選定
係活動についての問題を話し合ったが、全ての係がこの問題を悩んでいた訳ではなく、共通の議題として、問題意識をもって共有することができなかった。
2 、合意形成の在り方
話合いを進める中で、自分たちの係にぴったりくる方法を選択した方がよいという方向に進み、合意形成ではなく、係単位の自己決定に近い方向に進んでいった。
3 、授業の構想について
指導主事からは、係活動を題材とするのであれば、学級活動(1)ではなく、学級活動(3)として授業を構想してもよかったのではないかと助言をいただいた。
4 、全ての子供が同じ土俵の上で話し合えるようにするために
特定の子供の発言が目立ち、話を聞いているだけの子供がいた。全員で話し合える場をどのようにつくるかが課題だと感じた。全員が共通してもっているものに対しての道筋をつくるべきであった。
・集団の合意形成とするのか、個人の意思決定とするのか、小集団の合意形成とするのか。実社会のことを考えると小集団の合意形成も大切になってくるように思う。しかし、子供が何を考えればよいのか混乱すると思うので、授業で子供たちに考えさせたいことをブレずにもつことが大切だと思う。
・板書計画を見て、学級活動(2)に近いように感じた。子供たちの学校生活の中では、学級活動(1)・学級活動(2)・学級活動(3)に明確に分けられないこともあると思う。だからこそ、ハイブリットのような形の授業も考えられるのではないか。
・「協力」というテーマを、子供たちがどのように捉えているのか。それを学級で話し合う機会があってもよいように思う。
・この議題には、子供の必要感や困り感が生きているのか。全員とは言えなくとも子供たちの8割以上が必要感や困り感をもって話し合える議題を選定することが大切だと思う。子供から出る生の声を議題に生かし、子供自身が「話合いたい」「学びたい」と思える仕掛けを教師が用意できるようにすることが大切だと考える。
井上先生:体育科「マット運動」・・・3年生
1 、運動量を確保しながら楽しむことができる授業に
マット運動の基礎となる運動をかけ声に合わせて行った。イメージがしにくい体の動きをリズムに合わせて行うことで、より具体的に捉えることができた。学年が低い内に楽しみながら運動する経験を多く積ませることが大切だと感じた。
2 、ICTを効果的に活用した授業の構想
ワークシートをデジタル化し、タブレット上に自分の技の記録動画や振り返り等を書かせた。子供自身が練習を始めたばかりの自分と成長した自分を比較することができ、課題や成長を実感することができた。
・体育の話合いでは、アドバイスのような形になることが多い。できる子、できない子の差が開くことも多い。できない子への支援も大切だ。
・1年生の担任をしながら、改めて小さな学年から楽しくマット運動に親しむことが大切だと感じた。
・子供が学習の中で「困り感」や「必要感」をもつことができるようにするためには、どうしていけばよいか。
今回の研究会を通して、3名の先生方の実践発表を通して「授業を行う上で、どのように焦点化させるか」
「子供の必要感や困り感をどのように出させるか」という2つのことが共通項として見えてきた。
氷見先生からは、「子供たちの周りには『目に見えない抽象的な表現をしてしまう世界』と『目に見える具体的な世界』がある。」という意見が出された。私たち教師は、子供たちにこの2つの世界を行ったり、来たりさせながらできることを増やしていこうとしている。道徳であれば、資料文を通して抽象的な概念を考えさせ、振り返りで自分の学校生活を考えるなど、具体的な世界について考えている。このように、抽象的な世界と具体的な世界を行ったり、来たりさせる中で、子供たちの思考はよりアクティブに働いていくのだと考える。それらを通して、できること、思えることを増やしてあげることが大切であると改めて考えさせられた。
第63回 研究会を終えて
今回、改めて、この会では毎回学ばせてもらうことが多くあると感じた。ベテラン、中堅、若手。様々な立場からの考えを聞くたびに、無駄なものなど何も無いと考えさせられる。
コロナ禍での学校生活は3年目に突入し、我々教師も子供たちもこの世の中に良くも悪くも慣れてきたように思う。削減された学校行事や活動等がある中で、子供たちにとって本当に必要感のある「学び」とは何か。一度立ち止まり、冷静に考えるタイミングなのだと思う。そのヒントになるものの一つが今回の研究会のキーワードになった「必要感」なのではないだろうか。
今、この世界を取り巻く状態の中で教育現場の変革が急がれている。そんな中で、我々教師は、日々、様々な問題に直面している。そんなとき、私たちには「これは、きっと、何か意味があるはずだ」と考え、前向きに進んでいく柔軟性をもつことが大切だと思った。
ちなみに、この「これは、きっと、何か意味があるはずだ」は、本研究会の会長の口癖である。
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