第42回研究会(2021.03.25)
今年度、最後の研究会となりました。
今回は、①本年度取り組んだ研究論文の省察と今後の研究についての検討、②村田先生の大学院での学びの共有を行いました。
まず、今年度取り組んだ研究論文について、結論から申し上げますと、提出を見送ることとしました。それは、「研究論文として本当に実があるものだったのか」という問いが残ったからです。
当然、今年度当初から議論を積み重ね、それを基に各自が実践し、一定の方向に向かってはいました。しかし、研究論文として世に出す際に「世に訴えるだけの新たな発見があったのか」と問われると、「明確に打ち出すことができなかった」と言わざるを得ない結果でした。
今年度は、「小学校の様々な教育活動とキャリア教育との関連・その在り方を探る」という共通テーマを掲げ、各自がキャリア視点で日々の教育活動に取り組みました。そして9つの実践と各小括を整理し、そこから見出されたことについて考察しました。しかし、実践が多様であることから、焦点化した考察には至らなかったのが実際でした。ブラッシュアップを図り、完成させることは可能です。しかし、真新しい実ある教育を打ち出していくことを目的とする本会としては、このレベルのものを提出するのは前進にはならない、会のレベルアップにはならないと考えました。そこで論文を引き下げることを決断しました。本会としては非常に悔しい決断でした。
今回の研究論文執筆で得た新たな気付きや反省点は何かを皆で語り合いました。
研究論文の前提となる共通点が欠けていたことや、仮説・方法が明確でなかったこと、実践を論文へまとめ上げる際の書き振りが難しかったこと、各自のイメージが共有されないままに実践してしまったこと等が挙がりました。
しかし、実践そのものには大きな意味があったこと、9つ実践を分けて整理し直すことで、研究論文として提案できる内容は十分にあるということの確認もできました。
苦渋の決断ではありますが、この機会を糧とし、論文執筆自体について見つめ直し、「果たして、”実ある教育”とは何なのか」を今一度捉え直す機会としていこうという話になりました。
次に、村田会長より、大学院での学びについての発表がありました。
キャリア・カウンセリングの視点から、児童の自己理解について、アンケート調査や、学級担任への聞き取り調査を基にどのようなことが見えたのかをお話いただきました。
多くの視座が得られた中でも、「1番大切なことは、教師と子どもの信頼関係だ」ということが、当たり前のようで、ふと自分を振り返ったときに「本当にできていたか」と立ち止まらされる言葉でした。
最後に、辻井先生より
「今回の研究論文の取り下げは確かに残念だが、今後の研究に生かしていってほしい。そして、この会のメンバーが面白い実践、興味深い実践を行っていることに間違いはないのだから、論文として表すことに、今後も根気よくチャレンジしてほしい」というご指導をいただきました。
また、「悔しい決断を下した今回の研究会ではあるが、今後の研究会において、今まで以上に議論を深めよう。やってみようと思ったことを臆せずやってみて、その結果を研究会で共有していこう。それを挫けず積み重ねていけば、今年度の研究論文よりもさらによくなったものができあがるに違いない」ともご指導いただきました。
今年度の研究論文の省察から得られた視点と、村田会長の研究報告から得られた視点により、今後も新たなステージに向かって”実ある”実践を重ねていきたいと思います。
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