第28回研究会(2019.12.13)

 12月13日(金)、第28回研究会が行われました。以下、内容をお伝えします。

 今回の研究会では、11月に県西部小学校教育研究会・算数科で授業をされた宮腰先生、亀ケ谷先生より、単元構想や授業内容、算数科を通してのおもしろさや課題を発表していただきました。


【宮腰先生】4年生・算数科「面積」

・1㎠を1単位として面積を「数えて」求める方法から、かけ算を使って「より簡単に、分かりやすく」求める方法へと、シフトしていくために、ワークシートを工夫して子どもたちに提示した。

・ワークシートに補助的に入れたマス目が、子どもたちが考えを構築することを助ける手立てとなった一方で、こちらのねらいとは違った思考をする子どもたちにとっては、より複雑で自分の考えを説明することを難しくしてしまった反省がある。

・子どもたちの考えを一般化するのにICT機器を用いて授業を展開したことで、提示がスピーディーになり、45分という授業時間の中で授業をすることができた。しかし、算数を苦手とする子どもたちが知識や技能として身に付けるには、理解しづらいという指摘もあり、子どもの思考過程を「見える化」するには、どのようにICT機器を扱えばよかったのか、課題が残った。

・考えを出し合い、全体で深め、一般化してまとめ、適応問題に取り組むには、45分という時間はとても短い。その1授業で何を大切にするのかは、その時の子どもたちの反応・実態によって左右されることがある。立ち止まって考え始めた子どもたちの思考を、教師の都合で断ち切ってしまっては誰のための授業なのか分からなくなる。効率化(今日はここまでいきたいという教師の思い)に流されがちになるが、考え始めた子どもの思考を止めない授業を行っていきたい。


(アドバイザーより)

・常に授業者は子どもたちに考えさせようと迫っていた。子どもが考えを思いついた段階では「本当に?」と揺さぶりをかけ、思考を確かなものとしていった。そして、子どもたちは、授業者に何度揺さぶられても「できる!」と証明し、本時の内容を身に付けていった。

・算数科は、特に「こんな方法もあるんだ」ということに気付けることを大切にしてほしい。いろいろな角度から、いろいろな場面を想定して考えるおもしろさがあり、それを積み重ねていく過程で、子どもが立ち止まって考える瞬間が増える。その時は、思い切って立ち止まって考える力を付けてあげてほしい。ただし、どこまで時間をとるのかは、30人、40人の学級では当然個人の差があるため、子どもたちと授業をする中で「ちょうどいい」時間を見つけていく必要がある。



【亀ケ谷先生】6年生・算数科「順序良く整理してくらべよう」

・子どもたちを担任したときに、「どんな授業を目指すか」を話し合い、ビジョンの共有化を図った。話型や発表内容への反応、意見を繋げる、聞き手の反応を見るといった授業における主体性とは何かを、子どもたちと考えた。

・算数科は、「①振り返り→②問題把握→③課題づくり→④自力解決→⑤学び合い→⑥まとめ→⑦適応問題→⑧算数日記」とパターン化したことで、子どもたちにルーティーンができあがった。できる子だけがやりやすいのでなく、「わからないな」「できないな」と感じている子どもにも「何をすればよいかわかる」時間を設定することに繋がった。

・ICT機器を使ったり、板書に提示したりすることで、樹形図やリーグ表を子どもたちの目に触れるようにはしたが、その考えのよさを追体験することが弱かった。完成したものを提示し発表することが、そのまま聞き手が理解したことにはならないことを実感した。そのためには、統合的に考えるための手立てがもっと必要であった。共通点や相違点を明らかにし、子どもたちの「なるほど」に繋がるようにしていきたい。

・課題やまとめは「子どもの言葉でつくる」ことを大切にしてきた。初めは戸惑う子もいたが、徐々に慣れ、「子どもの言葉でつくる」ことができるようになった。スタートから大切にしてきてよかった。


(アドバイザーより)

・子どもたちと授業についてビジョンの共有化を図ったことは、非常によい。是非、参考にしたい。また、話し合ったことを掲示し、常に見ることができるようにしたことで、子どもたちに浸透しやすかったのではないかと考えられる。

・授業者は、「自分がしゃべり過ぎる」と言っているが、実際子どもたちは、それを嫌がっていない。むしろ、心地よく聞いているように見えた。先生の個性を殺すのではなく、むしろそのままでいいから、生かしていってほしい。誰かに「しゃべり過ぎだ」と指導・指摘されたのだろうが、それもあくまで1つの考えに過ぎない。個性を殺してしまっては”先生らしさ”が出ない。



 年内最後の会となった今回、研究会の後、場所を移して忘年会を行いました。会長・副会長、私用のため欠席ではありましたが、立ち上げ当初の5人から、10人を超える人数で集まる数の強さ、数の勢いを感じた忘年会でした。

 若手がどんどん提案を持ち込み、それに負けじと中堅・ベテランも意見を交わし合う。日進月歩で大きく変化する社会の中で、「子どもにとって”実”はあるのか」を語り合うことを継続してきました。これからも、流行に流されるのではなく、その中で「いかに泳ぐか」、古いものにしがみつき変化を恐れるのではなく、「いかに変化するか」を”実”を伴うか否かに主眼を置いて考えていきたいと思います。

 本会へのご指導・ご鞭撻いただいた皆様、そして、温かく見守ってくださっている皆様、2019年も、本当にありがとうございました。

 2020年もまた、さらなる発展を目指し、日々精進して参りたいと思います。

   どうぞ、今後とも我々実ある教育を語る会をよろしくお願い致します。

実ある教育を語る会

富山県小学校教諭の有志による実践研究会です。日々の実践を基に研究を深めます。 〜真贋を見極める目を!真実を追い求める目を!未来を作る芽を見つける目を!〜 第3章スタート! 引用参考 http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/colored/info/kyoto.htm