第12回研究会(2018.09.21)

 2学期になり、最初の研究会を行いました。

 前半は、氷見先生が実践をまとめて富山国際大学の研究紀要として発表する「小学校段階におけるキャリア教育についての一考察」についての概要の紹介と協議、後半は2学期のキャリア教育の具体的な実践に向けて話し合いました。以下はその内容です。


1.「小学校段階におけるキャリア教育についての一考察」の紹介と協議 提案 氷見

(研究紀要の内容は省略)

 多くの子供は、親の職業や働くということを知らない。そこで、保護者にインタビューをして働くやりがいやつらさ等を子供に話して聞かせることは価値があると言える。中学年の子供は、高学年の子供に増してさらに親の職業や働くということそのものを知らない。「世の中を知る」という意味において、中学年の頃から少しでも職業やキャリアについて視点を向けさせることには意味がある。

 アンケートで問うた「親の職業」は個人情報であり、子供によっては友達に話したくない内容である場合も考えられる。ここに、身近なことを扱う難しさ、家庭に関することを仲間でシェアすることの難しさがあり、そこには十分な配慮が必要となる。しかし、「親の職業観」を受け継いだり、「働く」ということに対する、親のもつイズムを受け継ぐといった内面の高まりも期待できる。

辻󠄀井教授から

 6年生段階で、職業について親へインタビューをする機会を設けることで、子供の変容が見られ、価値のある実践となっている。この後、中学校でどのような経験をしていくかが重要となる。親の職場体験をしたり、14歳の挑戦での職業体験をしたり、別の職業について調べたりする経験等をどのタイミングで行うかは、今後研究を進める価値がある。

 職業をカーストのように序列的に見るのではなく、究極的には「どの仕事についても価値があり、尊敬に値する」といったことを感じさせたい。「自分は世の中の役にたっているか」といったことを考えることが重要であり、体を使って働く職業も、頭を働かせる職業も、どちらも大切である。一方で、中小企業での若者の離職が問題となっている。若い人の離職を踏みとどませるために、企業側も様々に工夫している。

2.キャリア教育の実践に向けて 提案 宮腰

 小中連携の取組として、職業体験を終えた中学生が、感じたことや学んだことを小学生に伝える学習活動を行う。その学習において現段階で考えていることは以下の通りである。

・自分の長所を再発見すると同時に、どんなことをしたいかといった、思いも大切にしていきたい。働く人の思いに触れる活動をどのように仕組んでいくか。親の職業アンケートも良いのだが、実態を考えると不安な面もある。

・仕事図鑑等の書籍から、好きな仕事や興味のある仕事を調べる。この場合、輝かしい仕事ばかりを調べることになったり、一定の職業に偏ることが懸念される。

・自分発のマンダラートを描くことで、最終的には世の中には様々な職業があることに気付かせていきたいと思っていたのだが、「働く」ということに対する自分の考えが深まるようなことができれば、さらに良い。


 「働くことへの思い」に着目した場合、「親の職業」ではなく、「親がどんな思いをもって働いているのか」といった視点で聞く機会を設けることで、考えを深める刺激となるのではないか。むしろ、その「働くことへの思い」といったものは、「生き方そのもの」なのではないか。これを子供たちに「感化」していくためには、どのようなタイミングで、どのような手立てを講じたりエキスを注入したりしていくとよいのだろうか。学校教育の中で、このことを自然発生的に待つのではなく、教師が意図的に仕掛けていく必要性がある。

具体的な授業において、「語り合う」「シェアする」といった場合、一人一人の描くキャリアは個別的なものであるため、何を語り合ったりシェアしたりしていくとよいのだろうか。

辻󠄀井教授から

 今後の研究として、マンダラートを子供に書いてもらい、その変容を見ていくということが効果的ではないか。マンダラートがどう変化したか、何がきっかけで変化したのかについて、子供同士が語り合うこともできる。また、どんな要因によってマンダラートの内容が変容したのかといったことを分析する中で、教師のどのような手立て(しかけ)が子供の生き方やキャリアビジョンを変容させることを促したかが導ける。マンダラートを継続的に書き直していくことで、最終的には「自分を見つめることができる子供」にしていきたい。マンダラートが変容していく過程において、自分を深く見つめることができ、さらに最終的に自分のやりたい職業が絞られ、確固たるものになっていくのが理想的なのではないか。


 今回の研究会は、話し合った内容が多岐に渡り、そして具体的になってきました。今後はそれぞれがマンダラートを活用し、子供が自己を見つめる機会を設けていくとともに、教師が様々な手立て(しかけ)を行うことで、子供のマンダラートがどのように変容していくのかを探っていきたいと思います。そして、キャリア発達を促す要因について明らかにしていきたいと思います。


 本研究会は、昨年の9月に発足しました。ちょうど1年になります。

 研究を重ね、いよいよ具体的な形になってきました。もりもり食べて、今後もがんばります👍

実ある教育を語る会

富山県小学校教諭の有志による実践研究会です。日々の実践を基に研究を深めます。 〜真贋を見極める目を!真実を追い求める目を!未来を作る芽を見つける目を!〜 第3章スタート! 引用参考 http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/colored/info/kyoto.htm