第46回研究会(2021.07.14)
今回は、6年生社会科 歴史学習の単元「武士の世の中へ」における「元寇」部分の授業展開について、井上先生から提案がありました。井上先生が構想する展開に対し、会員がそれぞれの切り口から意見を述べていきました。
「元寇」は、日本において歴史上初めて他国からの攻撃を受けた出来事です。
井上先生からは、この時に武士たちが「一所懸命」にこの国を守ったからこそ、今の自分たちがあるということを子供たちに感じてもらいたい、そしてその学習を通して、自分の在り方や生き方を見つめてほしいという熱い思いが語られました。
話し合いの中で、主に以下のような悩みや疑問点が挙がりました。
・社会科の調べ学習は、何をねらってどのように行うとよいのか。他の先生方は、調べ学習の資料選定や時間確保、学習形態をどのようにしているか。
・1人での調べ学習をした後、グループや全体での話し合いをどのように行ったらよいか。そもそも1人で行う調べ学習には、どのような学びの意義があるのか。
・「教科のゴール(おさえるべき内容)」と「教師の思い」を踏まえて、単元での時間配分をどのようにするか。社会科の教科としては、ここで扱う「元寇」の内容をどこまで踏み込んで考えさせたらよいのか。
そして話し合いを通して、以下のようなことが確認できました。
・子供達は、インターネット等で広く情報を集めて調べ学習をすると、多様な資料を基にして考えることが出来る。一方で、見付ける資料の中には、教育上適切でないものやマニアックなものもあり、さらに多様な資料であると子供の意見が広がり過ぎるおそれがある。そのため、教師側であらかじめ資料を選定しておき、その資料を基に学びを進めることも一つの手立てである。また、授業で到達させたいゴールを明確にもっておく必要がある。
・過去の経験を基に考えると、1人の調べ学習を十分に行った後に行う話し合いでは、子供たちは自分の意見を伝えることに満足してしまい、友達の意見を聞いて自分の考えを深めていくことへは繋がりにくいということが課題としてあった。さらにグループで意見をまとめていく段階では、普段から発言力のある子供の意見が勝ってしまうおそれもある。授業の際には、どのような情報を子供に与えるか、また何を目的として話し合うのかということを、考える必要がある。
・「教科のゴール(おさえるべき内容)」として、教科書の流れや資料集はとても優れた材である。定まっている、教えねばならない、単元におけるねらいは、常に意識していく必要がある。
また、「教師の思い」と「教科のゴール(おさえるべき内容)」とを照らし合わせながら、社会科でおさえるべき所と連動し、生き方に関わる部分は特別活動の授業として扱っていくことも視野に入れるとよいのではないか。つまり、教科と特別活動との横断的連結を取り入れてみる、ということである。
今回の話し合いでは、「教師の思い」「教科のゴール」「調べ学習」「1人学習」がキーワードとして挙がりました。授業を考える上で、「教科のゴール」と「教師の思い」を時数や教科の中でどう折り合いをつけていくかという点が難しく感じました。
しかし、井上先生の話を聴き、教師として「子供に考えてほしいこと」をもって授業に臨むことの大切さを学ばせていただきました。
夏休みに向け、1学期の自分を振り返りつつ、自分の「教師としての思い」というものを見つめ直していきたいと思います。
大島 一也
0コメント